宮本大地 Daichi Miyamoto
宮本大地 solo exhibition 「不完全なヒーローたちの肖像 -変化する時代と私たちのかたち-」 (2025では、ジオラマ・ミヤモトモータース・ガジェットマン・ヒーローという4つのシリーズを通して、現代を生きるわたしたちの姿を多面的に映し出す。
「懐かしさ」「未来」「技術」「正義」といったテーマを通して、どこか生きづらさを抱えた人間像が立ち上がる。
それぞれのシリーズはひとつの物語でありながら、互いに接続し、同時代的な「今」を可視化する断片でもある。
このオムニバス的構成が、観る人それぞれの「かたち」を映す鏡となることを願っている。
記憶の風景としてのジオラマ


日常の中でふと目にするモノや場所、風景に、思いがけず「小さな世界」を感じることがある。
ジオラマシリーズでは、現実の一場面を舞台に、スケールを超えた大きな世界を重ね合わせることをテーマとしている。
きっかけは子供の頃のオモチャ遊び。
洗面台を港に見立ててミニカーを走らせた瞬間、ありふれた風景が、物流や消費といった大きな社会と繋がって見えた。
世界はすべて、どこかで繋がっている。
このシリーズを通じて、日常のなかにも広がる「もうひとつの世界」に気づいてもらえたらと思う。
過去が夢見るテクノロジー/ミヤモトモータース



今ではほとんど見かけなくなった旧車を中心に、私なりのカスタムを施した空飛ぶ車が登場する世界を描いたシリーズ。
ミヤモトモータースとは、懐かしいものと新しい技術の狭間にある感覚を、過去から現在へと続く技術の象徴である自動車を通して表現したものである。
大量生産によって無機質になった現代のモノと、手作業の温もりを感じさせる懐かしいモノ。
どちらが良い悪いではなく、両方を含んだ技術の流れの中で、
未来の技術によって旧車を生まれ変わらせ、新たな時代の希望を描き出そうと試みている。
情報社会の迷子たち/ガジェットマン


人間は古代から道具を使い、生活を発展させてきた。
技術が進化した現代では、スマートフォン、SNS、AI、メタバース、3Dプリンターといった道具が日々の生活を大きく変えている。
インターネットと共に急速に変化する日常に、どのように順応し続けるのか。
それは、現代を生き抜くうえで必要な能力になっているのかもしれない。
ガジェットマンシリーズでは、そんな多くの道具に囲まれ、時に飲み込まれるように生きる私たちの姿を、
「ガジェット」を身にまとった【ガジェットマン】として描いている。
選択肢が増え、自由になったはずの社会で、むしろ感じてしまう不自由さや歪みを浮かび上がらせる。


ヒーローの行方


ヒーローとは何だろう?
幼い頃に夢中になったヒーローたちは、正義の象徴として誰かのために戦い、希望と勇気を与える存在だった。
しかし現代社会には、単純な正義や悪は存在せず、「誰がヒーローなのか」「誰のために立つのか」さえ曖昧になっている。
私のヒーローシリーズでは、そうした現代と同様に、誰に求められているのか分からないヒーローたちが登場する。
映像や記録装置を頭に載せ、ただ画面の中を生きているような存在。
力強くもなく、意味もなく、正義とも限らない。けれど不完全なまま、誰かにとっての「何者か」になろうとしている。
その姿は、情報やモノに溢れる現代を生きる私たちの姿と重なって見える。
このシリーズを通して、自分自身が感じていることを形にできればと願っている。




Profile
不完全なヒーローたちに、僕たちのかたちを重ねて――。
宮本大地は、情報と記憶、社会と技術のあいだで揺れる現代人の姿を、ユーモラスかつ批評的に描く現代美術作家である。
彼の作品には、オモチャ遊びを起点とした日常の再発見、旧車や空想技術への憧憬、ガジェットに覆われた現代生活者の姿、そして曖昧な正義の時代に現れる“誰かのヒーロー”といったテーマが連なっている。
作品ごとに異なる視点を取りながらも、通底するのは「不完全であるがゆえに人間らしい存在」へのまなざしである。
本展における4つのシリーズは、それぞれが独立した物語でありながら、全体として私たちが生きる“今”を断片的に映し出すオムニバスとして構成されている。

略歴
1991年 | 大阪生まれ | |
2013年 | 京都精華大学 芸術学部造形学科 洋画コース 卒業 | |
2015年 | 新進芸術家育成交流作品展 FINE ART 2015-2016 | 茨城県つくば美術館 |
グループ展「精華ESSENCE」 | 福屋八丁堀本店 | |
2016年 | 琳派401年記念 京都府美術工芸新鋭展 | 京都文化博物館 |
2017年 | グループ展「コンポラサーカス」 | 阪神梅田本店 |
2018年 | 京都府新鋭選抜展2018 | 京都文化博物館 |
個展「隠レ家」 | 松坂屋名古屋展 | |
個展「あふれる世界」 | 一畑百貨店 | |
グループ展「コンポラサーカス」 | 京阪百貨店守口店(15',16') | |
2019年 | 個展「宮本ビルヂング」 | 京阪百貨店守口店(15',16') |
2020年 | 京都府新鋭選抜展2020 | 京都文化博物館 |
個展「シンセカイ」 | 天満屋福山店 (18') | |
2021年 | グループ展「証展/起展」 | BAMIgallery |
グループ展「ZERO HOUR」 | BAMIgallery | |
2022年 | ART FAIR TOKYO | 東京国際フォーラム(19',21') |
個展「ミヤモトモータース」 | 阪神百貨店 (19') | |
2023年 | グループ展「稀代」 | BAMIgallery |
グループ展 「阿部瑞樹/宮本大地 Drowing Exhibition」 | BAMIgallery(22') | |
グループ展 新進芸術家現代アート展示会 | レグヌムコート京都(積水ハウス) | |
個展「トランスフォーム」 | 福屋八丁堀本店(16',17',19',21') | |
個展「ガジェット」 | 岡山天満屋 (21') | |
グループ展 「阿部瑞樹/宮本大地 Drowing Exhibition」 | 紀伊国屋書店梅田本店(22') | |
グループ展「10WAVES」 | あべのハルカス近鉄本店(20’,21',22') | |
2024年 | 個展「ガジェット」 | あべのハルカス近鉄本店(16',18',20',22') |
阪急×ArtCollectorsアートフェア2024 | 阪急うめだ本店 (23) | |
ART FAIR ASIA FUKUOKA 2024 | 福岡国際センター(23) | |
ART TAIPEI 2024 | 台北世界貿易中心(18',19',23') | |
2025年 | 神戸アートマルシェ | 神戸メリケンパークオリエンタルホテル/兵庫 (22,23,24) |
個展「HEROES」 | BAMIgallery (15',18',20',22'23') |
Exhibitions
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- 宮本大地 solo exhibition 不完全なヒーローたちの肖像